「ムーミンバレーパーク」、アニメ「ヤマノススメ」の舞台である飯能市の自然を守ろうとしています。
メガソーラー設置予定地は「ムーミンの作者、トーベ・ヤンソン」との交流から生まれた市営公園がある里山、17haです。
(東京ドーム約4個分)飯能市が月10万円で事業者に貸出し、メガソーラーが建設される予定です。
私たちはこの自然豊かな土地を、子どもたちに残したいのです。
どうかお力をお貸しください。
ネット署名はこちら! http://chng.it/n9QHbNjP

野口 和彦議員の回答

 

加治丘陵の自然を考える会・飯能

代表 長谷川順子 様

 

回答者 飯能市議会議員 野口 和彦

 

この度は「阿須山中土地有効活用事業」についてご質問を頂きましたので、ここに回答を申し上げます。

 

―質問事項―

質問①

阿須山中土地活用事業者公募の最優秀提案事業者による事業計画案は、生物多様性豊かで、大きな保水力がある山林を大規模に破壊することが前提となっています。このことについてどうお考えですか?またその理由をお聞かせください。

 

回答

私は飯能市の自然はとても大好きで、しっかりと守っていきたいと考えております。また、人間は生物と共生して地球上に生きており、共存共栄していくことも大切であると考えています。また、近年の地球温暖化による気候変動により、短期に集中豪雨が発生する状況が続いており、防災の観点からも山間地域の対策が必要です。現在の飯能市の森林は、市の面積の約75%を占める14569haに及ぶ広大な面積があります。その為、飯能市では第6次飯能市森林整備計画を作成し、水と緑の次の60年を守る森林づくり基本計画として、戦略的な取り組みを進めております。

内容としては、基本方針1、森林の持つ公益的機能の向上を狙い、水源涵養昨日の増進・山地災害防止機能の増進・快適環境形成機能の増進・保健文化機能の増進に取り組むこと。基本方針2、森林の持つ木材生産機能の向上を狙い、木材生産性の向上・木材加工・流通体制の整備促進・担い手の育成・西川材の利用促進とPR・木を使ったまちづくりの推進に取り組むこと。基本方針3、森林整備基盤の強化を狙い、森林情報の整備・集約化の促進・森林組合の体制整備に取り組むこととしています。飯能市の考える将来像のイメージは以下の様になっています

 

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自然というのは手を入れないでいると、逆に人間に被害を及ぼす危険性があります。そこで、計画的な山林の手入れや、治水対策は重要となります。自然を守る為に何もしないということは逆に自然を守れなくなります。ここで重要な視点は、飯能市の面積は埼玉県でも3番目に広い193k㎡あり、全体最適でのまちづくりをしていく必要があるということです。人と自然が共生するこの飯能市は、ある程度は自然に対して人工的な手を加えなければなりません。例えば、美杉台地区や永田台地区は山林でした。しかしながら市の方針として住宅や工業団地として開発行為を民間に解放し、人口が増加しております。それによりにぎわいの創出や、税収の増加、水道利用者の増加が実現し、約8万に(原文ママ)の人口にも関わらず、山間地域のインフラの整備や水道未給水地域の方への水の給水、上下水道の整備など多くのサービスが実現しております。自然を守ることはとても大切ですが、少子高齢化が進む中、人口減少が続くということは、税収も減ってしまい、飯能市のインフラ維持や公共施設の維持管理、市民サービスが衰えてしまいます。また、自然が豊かな飯能市では、市街地にも自然が多く、毎年街路樹の剪定や、公園などの雑草の除去、蜂などの害虫駆除、猪や鹿などの鳥獣被害対策など、自然と人間が共存している中での手入れをしています。自然を全て守るという発想で手を入れなければ、雑草は生え放題、害虫が蔓延して怪我や病気が増えてしまう、鳥獣被害による農作物の損害は、毎年数千万円にもなっており、被害が増えてしまう恐れがあります。この様な観点から、私としましては今回の開発行為は飯能市全体最適の視点で妥当であると考えます。あえて、阿須山中地域だけを限定して考える部分最適の発想では、自然の破壊はするべきでは無いと考えますが、まち全体を考える全体最適の発想が重要であります。

 

質問②

この事業が市議会に諮られないことについて、どうお考えですか?また、その理由をお聞かせください。

 

回答

この件につきましては、ご存知ではない様ですので過去の阿須山中関係の議事録を抜粋しておりますので、まずは議会で議論された内容をご確認下さい。諮られていないということは無く、しっかりと長期間に渡って議論されてきております。過去には私も一般質問で取り上げさせて頂い(原文ママ)こともありますし、多くの議員が関心を持って積極的に取り組んで来ております。

飯能市議会会議録抜粋(阿須山中関係

 

 

質問③

これが地方創生にあてはまるとお考えですか?また、その理由をお聞かせください。

回答

この事業は地方創生にしっかりと当てはまっております。先ず地方創生とは、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策のことです。平成26年5月に、飯能市は日本創生会議人口問題検討分科会の試算により、消滅可能性都市として位置づけられました。当時の指摘の通り、何も政策に取り組まなければ飯能市は消滅してしまうという提言でした。消滅という言い方はとても衝撃的でしたし、人口が減少していき、今の子どもたちが大人になった未来には、財政破綻を危惧しながら取り組まなければならない厳しい未来を現実のものとしてしまう恐れがあったからです。そこで、飯能市では段階的に発展可能性都市委へ、そして発展都市へとしての子育て世帯への手厚いサービスの拡充やテーマパークの誘致、戦略的な地域創世(原文ママ)プログラムを策定して取り組んで来ており、全体的な人口は残念ながら減少傾向にありますが、社会増減で見ますとここ数年右肩上がりで転出者より転入者のほうが多い状況となっています。特に美杉台地域での人口増加は現在進行形で進んでおり、あと数年先には小学校・中学校の教室が足りないという現象も起きております。そもそも、この阿須地域に関しては長期に渡る戦略的な地域開発がされています。昭和の時代から始まり、阿須・岩沢エリアにはスポーツ・文教・レクリエーションの場として整備が進めてこられており、市民体育館をはじめ、野球やサッカー・テニスなどのグランドが整備されており、マイナースポーツであったホッケーに目をつけてグランドを整備し、今までに世界大会で活躍する選手たちを輩出してきました。また、駿河台大学の誘致に成功し、飯能市で唯一の大学キャンパスとして多くの学生で賑わっております。そして、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園は当時の市の職員がトーベ・ヤンソン氏と手紙でやり取りを繰り返し、飯能市の考えをしっかりと伝えてムーミンの世界観をコンセプトに公園を整備することができ、この実績をもってムーミンバレーパークの誘致に成功しております。もともとは自然が豊かであった場所に、戦略的な政策のもとで人工的な開発を進めてきたことで、今の賑わいや豊かさを実現できています。そして、今回の阿須山中の土地開発に関しては、歴史的な課題がありました。それはバブル崩壊です。昭和48年に公有地の拡大に関する法律に基づき、土地開発公社が設立されました。土地開発公社を簡単に説明すると、バブル期では民間企業や個人が土地を買い漁り、公共的に有効活用出来る土地が無くなってしまうことを危惧して、市に変わって土地を先行取得する役割を担っていました。何故なら、市が土地を直接取得する場合は議会を通して購入する事となり、時間的に不利な状況があります。そこで、土地開発公社という市の子会社の様な団体が、銀行から融資を受けて土地を購入していました。しかしながら、バブルが崩壊し、土地の価値は下がり、多額の銀行の借入れに対する金利の返済が続いていました。これは、大切な市民の税金がダダ漏れになっている状態です。この状況が全国的に起きていることから、救済措置が必要でした。そこで飯能市は、平成24年度から埼玉県のふるさと創造貸付金を活用して、10年間に分けて土地開発公社から市へ買戻しており、その間に利用目的を明確にするとして検討を重ねてきました。その間、多くの議員からも様々な有効活用の提言がされ、もちろん自分も提案しましたが、なかなか有力なアイデアとして採用迄には至りませんでした。こちらの詳細につきましては、飯能市からも阿須山中土地有効活用事業について、御団体からの質問の回答として公開しておりますので、こちらをご覧ください。

阿須山中土地有効活用事業について(回答)

別紙1 公社の経営健全化計画.pdf

別紙6 阿須山中土地有効活用事業者公募要領

 

そして、地方創生に当てはまる理由ですが、今回採用されました一般社団法人飯能インターナショナル・スポーツアカデミーは、世界的なサッカークラブ「ボカ・ジュニアーズ」のプロパティを利用したサッカー専用グランドを展開していただける点が大いに評価できます。そもそも阿須エリアはスポーツ・文教・レクリエーションの戦略的エリアとして開発が進めてこられており、今回は更にバージョンアップさせる為の最適な事業であるからです。ボカ・ジュニアーズとは、アルゼンチンで最も成功を収めたサッカークラブで、世界的スーパースターであるディエゴ・マラドーナ、バティス・トゥータ、テベスリケルメパレモ原文ママ)などの錚々たるメンバーが多数誕生しております。このボカ・ジュニアーズのプロパティを確保しており、最高のブランドを有したサッカー場とチームを誘致することは、お金の問題では誘致できるものでもなく、仮に誘致にお金をかけるなら億単位で通常は掛かることで、更にサッカー場飯能市で整備した場合はこちらも多額の費用が掛かります。しかしながら、今回飯能市は、歴史的な経緯で取得して有効活用出来ていなかった土地を元に、お金をほとんどかけずに誘致に成功し、更に賃料まで取得できるという素晴らしいスキームを組むことが出来ました。更には、ボカ・ハンノウは既に飯能市内で活動をしており、設立2年目にして浦和レッズジュニアユースに合格者を輩出しました。これにより、将来飯能からJリーグや世界の舞台で活躍できる選手の排出が期待され、そのスターになった選手が飯能市に恩返しをする、また飯能をPRしてもらうということが期待でき、将来的にも飯能市も付加価値を高めることが期待されます。また、ボカのロゴを有した商品開発も検討されており、地元の産品とのコラボレーションを実施することで、ふるさと納税の商品開発や、飯能のブランドを高める商品やサービスの拡充も期待出来ます。ふるさと納税の過去の実績としては、ムーミンというブランドをふるさと納税の商品に起用した結果、年間400万円ほどのふるさと納税の寄付金が、年間1億5千万円、2億円、3億円と増加しています。この様なことから、地方創生に当てはまると考えております。

以上、長きに渡り説明をさせて頂きましたが、飯能市は森林文化都市宣言をし、自然とともに生活できるまちづくりを進めてきております。読んで字の如く、「森林」と「文化」と「都市」がしっかりと融合し、偏ることなくまちづくりをしながら、市民の皆様の生活の利便性の向上や豊かさの向上に努めております。最後になりますが、今回、なぜこのタイミングで公開質問を迫られているのかは分かりませんが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為に、約2か月間に渡る緊急事態宣言が発令され、国民に対し不要不急の外出を控える様に、防災無線や市のホームページ、防災メールなどで毎日行政から市民の皆様にお願いをして来ました。それにより、多くの方にご協力を頂き、ようやく緊急事態宣言が解除されました。また、国からの特別定額給付金を、1日も早く市民にお届けしたいという市長の思いに、市の職員がゴールデンウィーク返上で、各部署からも応援をし、遅くまで残業もし、駿河台大学の学生さんにも協力を得ながら、埼玉県で1番早い給付の段取りがなされました。そんな大変な状況にも関わらず、今回の御団体の質問に飯能市が真摯に回答されたことに感謝を申し上げ、私からの回答を締めさせて頂きます。