「ムーミンバレーパーク」、アニメ「ヤマノススメ」の舞台である飯能市の自然を守ろうとしています。
メガソーラー設置予定地は「ムーミンの作者、トーベ・ヤンソン」との交流から生まれた市営公園がある里山、17haです。
(東京ドーム約4個分)飯能市が月10万円で事業者に貸出し、メガソーラーが建設される予定です。
私たちはこの自然豊かな土地を、子どもたちに残したいのです。
どうかお力をお貸しください。
ネット署名はこちら! http://chng.it/n9QHbNjP

阿須の土地の脆弱性について

阿須山中活用事業の事を地元の方にお話しすると、古くから飯能にお住いの方、しかも複数の方から、「阿須は崩れやすいという意味だから、メガソーラー作るなんて危ないんじゃないの?」と言われました。

 確かに、、、同じ阿須の「トーベヤンソンあけぼの子どもの森公園」で台風の後などによく「崩れています。近づかないでください。」という表示を目にしたなぁ。。。と。。

 

そこで、詳しい方にお聞きしました。

【字源から】

「阿」は、原初の字源は「神の降りるはしご(神梯)の前で祈る形」なのですが、漢字が日本に伝来した当初は、殷・周時代の古代文字は発掘しておらず、恐らく許慎の説文解字の字源説が信じられていたと思います。
それによると、「阿」は、『曲がった丘陵の形』『かぎ形の台地』を表し、山川の委曲の姿から『まがる』『ななめ』の意味があります。
「須」はどの説もほぼ同じで、あごひげの垂れた老人を描いた象形文字です。柔らかくしめってしっとりとした髭のイメージがあるようです。
韓半島からの渡来人がつけた地名だとすると、もしかしたら丘陵の上に白髭仙人のお社(やしろ)があったのかもしれませんね。

カインズのある場所は、ダイナミックな崖崩れで平らになったところだそうです。黄色い粘土層とごろ石でできた崖ですから、崩れたときは、ホントにガバッと一気にはがれるような崩れ方だったと思いますよ。その怖さを後世の人間に知らせようと、「阿須」という名を残してくれたのだと思います。

 

【地形・地質から】

1.阿須山中の大規模開発の危険性について

 

 ★何故危険か?端的には、当地域は半分しか固まっていない飯能礫層という礫を中心いした地層で、雨を含むと地層岩石の隙間が水で飽和して、崩れやすいからです。

<詳しい説明>

 ・阿須山中の主要地質「飯能礫層」の特徴

 阿須山中の主要な地質は、半固結の、比較的新しい年代(250万年程度⇔岩盤の丈夫な吾野秩父は6500万年から1億年以上昔の地層)の、泥、砂、チャート(珪酸質)などから成り立つ礫岩が中心地層で、「飯能礫層」と命名されています。
半固結な岩質のため、樹木や森林土壌に覆われていない裸地となると、豪雨で、急激に岩石の隙間が地下水で飽和したとき、岩石が物理的に脆弱となります。
このとき、一定の傾斜を斜面などに、この地層が露出している場合、水で飽和して重くなった地層を、岩石が支えきれなくなり、崩壊⇒すなわち、斜面が崩れるおそれがあります。

 もちろん、阿須山中では、この「飯能礫層」は、ほとんど地表に露出せず、良好な樹林帯と、厚い土壌が発達しているため、急激に地下水圧が上昇して、飯能礫層の岩石の隙間が飽和することはなく、唐沢川流域でも、土砂災害は報告されていません。

 ・落合地区の土砂災害警戒区域と阿須山中の地形地質の類似性について

 しかしながら、同じ飯能礫層が主要な地層の、成木川流域の落合地区では、土砂災害防止法による土砂災害警戒区域として、指定されています。
落合地区の土砂災害警戒区域と阿須山中の開発予定地の地形地質上、共通する特徴は、

〇どちらも、地質は飯能礫層であること
〇どちらも、凸型尾根であり、土砂災害が潜在的に起こり得る地形であること

 どがあげられそうです。

※添付ファイル 地形図「既存土砂災害警戒区域(落合)との比較」および「土砂災害警戒区域飯能市 駿河台大学―落合)」参照

 

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既存土砂災害警戒区域(落合)との比較

 つまり、阿須山中は、良好な樹林と森林土壌が発達しているため、警戒区域には指定されていないものの、メガソーラーのような大規模開発で、裸地化したときは、容易に警戒区域等に指定され得ることが判ります。

多分既存の資料を整理すると、当該地が大規模開発を行うと、警戒区域になりえることは、客観的に妥当と思われます。


2 なぜ、加治丘陵が一般的に地滑り等で危険だとみなされているのか?

★地滑りを起こしやすい、粘土層が、加治丘陵東部(駿河台より東)に分布して、その粘土層の上に入間台などの団地の基礎となる地盤が載っているからです。 

<詳しい説明>

根拠としては、「仏子粘土層」という地滑り面になりやすい地層が、八高線東側の阿須地区から加治丘陵東端の入間市の豊岡付近まで広がっているためです。
そして、この「仏子粘土層」の上を「豊岡層」という、更新世(1万年程度)の最近の礫を中心とした水はけの良い、未固結の地層が覆い、その上に、武蔵野音大などをはじめとする入間台団地が建っているというわけです。
 これは「水はけが悪く、滑りやすい地層の上に、水はけが良く、地下水が良く浸透する地層がのっかっている」ということになり、まさに潜在的に地滑りを抱えた土地ということになります。それもあり、入間台団地などは、地滑りを発生させないためにも、降雨時の地下水の排除を徹底的に実施することが求められています。

 ・阿須山中の飯能礫層と同年代で、滑りやすい地層が近傍で発見される可能性
 地滑りしやすい地層は、粘土層以外に、凝灰岩層があります。阿須山中近傍で、飯能礫層と同年代の地層としては、美杉台麓の矢颪で、凝灰岩の地層が見つかっています。凝灰岩の地層は、水を通しやすく、しばしば地滑りの要因にもなります。
飯能礫層中にも局所的ながら、凝灰岩の礫がしばしば見つかることから、もし、阿須山中の開発の際ボーリング調査で一定の層厚を持つ凝灰岩層が見つかったら、要注意でしょう。

 ちなみに、アケボノゾウの足跡化石は、この凝灰質の泥に、ゾウが足を突っ込んだため、化石として残されたものです。蛇足ながら、ゾウが住むような環境、すなわち水辺の湖沼のような環境ですので、植物の遺骸が、水中で腐らず炭化して亜炭となる駿河台の亜炭層も同様な理由で成立したと考えられます。

 

3.近年の降雨強度は、土木などの基準で見直しされているのか?

 まったく、見直しされていません。現在は、連続降雨量11日間で1800㎜にも及ぶ2018年の西日本豪雨災害時の降雨強度を基準として評価すべきです。
 つまり既存の降雨強度(20年に1回、50年に1回の豪雨)では、調節池が、24時間以内にあふれかえって、池の天端が損傷しやすくなり、もし堤体が決壊したら河川の増水を助長する可能性すら考えられます。

 以上の1,2,3から阿須山中の大規模伐採による開発は客観的に危険とみなされます。

 

※飯能礫層については、(独)産業技術総合研究所 地質調査総合センター

地域地質研究報告「青梅地域の地質」植木岳雪、酒井 彰

を参考にしました。参照ページ➡P46、48、59、60、65、66

青梅地域の地質 産総研(H19) (1).pdf - Google ドライブ