「ムーミンバレーパーク」、アニメ「ヤマノススメ」の舞台である飯能市の自然を守ろうとしています。
メガソーラー設置予定地は「ムーミンの作者、トーベ・ヤンソン」との交流から生まれた市営公園がある里山、17haです。
(東京ドーム約4個分)飯能市が月10万円で事業者に貸出し、メガソーラーが建設される予定です。
私たちはこの自然豊かな土地を、子どもたちに残したいのです。
どうかお力をお貸しください。
ネット署名はこちら! http://chng.it/n9QHbNjP

阿須山中土地有効活用事業について(市の回答に対する当会の見解)

先日提出致しました、「『飯能市阿須山中土地有効活用事業』に関する質問書」飯能市長よりご回答いただきました。

頂きましたご回答は飯能市HPにてご確認いただけます。

頂きました回答内容に対しての、当会の見解です。

 

阿須山中土地有効活用事業について(市の回答に対する当会の見解)

今回の開発計画の対象地、阿須山中について確認をしたいと思います。

まず、阿須山中に存在するものは、市民の財産です。市は、阿須山中を単なる土地という捉え方をしています。

実際には、阿須山中には、森林文化都市宣言をしたまちにふさわしい豊かな森林が広がっています。その豊かな森林の広がる阿須山中の土地が飯能市民の財産なのであります。長い年月を経てきた大切なこの森を一度壊したら簡単には元には戻せないのですから、利用を考える場合には、相当慎重に考えなくてはなりません。

森林を破壊した時点で、森林文化都市宣言にうたうような、森林資源の活用は存在せず、森林と人との豊かな関係を築くということも存在しなくなります。

 

13、500筆という数の署名の意味を、考察したのでしょうか。

前向きにとらえてみたらいかがでしょう。

市内市外を問わず、多くの人が飯能の森林に大きな価値を認めている証拠です。森林文化都市という名前の通り、豊かな自然に恵まれた素晴らしい場所である。それを守り続けて欲しいという切実な声なのです。

「素の飯能に触れる楽しさ」を都会の人々は知っています。

清々しい空気の中で身体を快適に動かし、移り行く自然の営みに触れて心癒され、また忙しい日常に戻ってゆく。飯能の森や川は、市内はもちろん市外の人たちにとって、一服の清涼剤のような役目をはたしているのです。

 

激しい気候変動も頻発し、地球環境問題が世界中で論議されている今、飯能市は何を一番に考えなくてはならないのでしょうか。

地球上の一人一人が、「身近な目の前の環境を大切にしていくこと」の積み重ねが、地球全体の環境を整えていくことになります。他所のこと、他人のことではありません。「身近な目の前の環境を大切にしていく」行動ができる人を育てるために、飯能の森や川は「青少年の環境教育の場」として最適です。理屈で学ぶのではなく、自然の美しさに触れて自然への感性を高め、命の尊さを学ぶ絶好の場です。

 

なぜ飯能市なのか
都心からでも1時間もあれば来られる場所であり、気軽に何度でも通えます。

 

なぜ阿須山中なのか
「第6次森林整備計画」で示されたような、理想的な森林が広がっています。

雑木林が多く、人工林より、生物の多様性が見られます。

土壌が豊かで、保水力に富み、清らかな流れを作り出しています。

なだらかな丘陵地で、安全に老若男女が楽しめます。飯能駅から10分もあれば入れる奇跡のような別世界です。

かけがえのない阿須山中を含めた加治丘陵の自然を後世に引き継ぎたいということをただひたすら思い、「加治丘陵の自然を考える会・飯能」は、多くの方々と力を合わせています。

 

事業者選定の条件の中で、特に重視されていたのが、「地方創生に資する」という点であったことについて考えました。

飯能市が「消滅可能性都市」に挙げられたため危機感をもち、「発展都市」へと飛躍するために地方創生にまい進すると市民を煽っているように感じられます。当初の自然公園にするという目的を捻じ曲げ、「第6次森林整備計画」を、様々な開発行為も否定しないと勝手に解釈して今回の事業計画を推し進めようとしています。

市は、どのように消滅へ向かうのか分析しているのでしょうか。飯能市の特性を把握し、弱点は何かを探り、解決策を研究しているのでしょうか。逆に、強みは何か捉えているのでしょうか。強みがあれば、生かしていく手立てをとっているのでしょうか。ただ漠然と地方創生に適していそうと決め込んで、市民の不安につけこんではいないでしょうか。事業による効果と、喪失するものを正確に把握しているのでしょうか。具体的な見通しがないままに進めることは、市民の大きな財産をあまりにも粗雑に扱っていることになります。今後地方創生を考える場合も、客観的に市の実情を見て考え、研究し、少ない負担で市民が納得できる効果を持続的に上げられるよう進めることが重要だと考えます。

 飯能の一番の財産である森や川を守り、多様な動植物とともに暮らす豊かな環境を生かしたまちづくりを進めれば、市内を含め首都圏の人々にとってのかけがえのないまちとして認められるでしょう。関東の平野部に暮らす大多数の人々には、願っても自分のまちでは実現できないことなのですから。そして、それは、今の時代に求められる最先端の取り組みになると思います。

働き方が変化したり、都心部の災害の危険も高まったりしている中、豊かな自然、都会へのアクセスのよさなど好条件がそろう飯能市は、居住地として選ばれる可能性が高いのです。長い目で見れば、持続可能な発展都市になってゆくでしょう。それこそ地方創生に資するのではないでしょうか。

 

回答書ではマウンテンバイクなどが走り回り、大変危険で迷惑していると、住民の安全を脅かしているもののように表現しています。マウンテンバイク愛好家団体の方たちは、7年前から地元のまちづくりの方たちと阿須山中の散策路や森林の整備ボランティアをしています。この団体は、名栗において市も認める子ども自転車教室を実施し、地域社会に貢献している団体です。少数の住民の発言をもってマウンテンバイクを危険視することは、同団体やマナーを守ってマウンテンバイクに乗る多くの方々に対する差別に値する発言で、訂正するべきだと思います。

 

わたしたちは、サッカー選手の育成やサッカー場の建設に反対しているわけではありません。サッカー場を造るのであれば、大掛かりな造成などしなくても済む場所があるのではないでしょうか。

地方創生を目的に、貴重な自然を壊してまで、なぜ阿須山中でなければならないのか、その理由を見出すことができません。

 

以下、『飯能市阿須山中土地有効活用事業』に関する質問書」の飯能市の回答に対する当会の見解です。

 

質問1 

 本事業の土地は、阿須地区の住民のお金で買い戻した土地ではありません。20億円もの税金をつぎ込んでいる市の土地についての事業計画の説明会を、阿須地区だけで済まそうとするのは、あまりにも杜撰です。今回の事業は規模や内容からして飯能全市民に知らせるのが妥当です。

事業者は「複数回説明会を開催し」とあります。しかし事業者の説明会は現在工事中の道路に関するものであると聞いています。本事業についての説明ではありません。

阿須山中の市有地は飯能市民の財産です。本事業についての説明会を、市民全体を対象にして、市が開催することを、改めて求めます。 

また、市は公募に関して「市議会議員には議長を通じて、文書で報告し、地元報道機関、所沢記者クラブ所属報道機関に記者発表するとともに、市ホームページにて広く市民の皆様にお知らせしました。」とあります。市政を知る上で、市民に一番身近な媒体は「市の広報」ですが、公募の記事が載ったのは2017年12月1日発行の広報(市報)で、9ページの中程に小さい記事でした。しかも公募の提案書提出締め切りは11月6日で3週間前に過ぎていました。

市のホームページで阿須山中の募集記事が確認できるのは2017年11月13日付ですが、そこには「受付は締め切りました。」という文言が付記されています。

市の回答している広報の実体は「広く市民にお知らせしました」というものではありません。

また、3月11日、当時の県農林部森づくり課担当課長からは、「最終的な責任は、土地所有者である“飯能市”にある。」と聞いていますが、飯能市は、「事業者に責任がある。」と言います。市が最終的な責任を持てない事業などあり得ません。

 

質問2-① 

市は開発指導要綱に照らし合わせて問題ないと回答しています。しかし、2014年6月11日の議会における野田直人議員の質問に対し、当時の産業環境部長は、「阿須山中の土地につきましては、北斜面ということでございますので、一番の問題といたしましては日照時間がどれだけとれるかということだと思っております。」「相当大きな太い木もございます。伐採などを行うことになりますので、事業の採算に合うかどうかということが課題であると考えております。」と、メガソーラー施設の建設が採算に合うかどうかを課題として上げています。決して好条件とは言えない阿須山中にあくまでこだわる理由がわかりません。

 

質問2-②

回答には気候変動による大規模災害についての言及はありませんでした。私たちは、近年、毎年のように「何が起こるか分からない」という思いをしています。

「1966年6月の台風4号。当時小学2年でしたが、土砂崩れで阿須に住む同級生が2人亡くなったと記憶しています。阿須で5人が亡くなるという飯能市で昭和最大の災害でした。決して忘れてはいけない、繰り返ししてはいけない悲劇です。」という経験をした方のお話を聞きました。災害が起こった時に、いったい誰が責任を取るのでしょうか。

市民の生命財産を守ることを第一とする自治体の長である大久保市長は、市議会で「50年、100年に一度の災害を考えていたのでは、何もできない。」と答弁しています。市は、この事業を関係法令の基準を満たした設計と認め、進行管理は行うとしています。すべての責任は事業者にあり、市が責任を取るとは言っていません。

災害や水質汚染の危険性が考えられる山を崩して行うこの事業を、阿須山中で行うことの理由がわかりません。

 

質問3-①

「“地方創生”でどんな仕事が生まれるのか、何人の雇用が見込まれるのか」との具体的な問いへの回答はありませんでした。 地方創生をメインに掲げながら、何ら数値を示せないのは大問題です。

    

質問3-②

 会としては、サッカー事業を否定するものではありません。ただ、夢の実現が、なぜ阿須山中で行わなけれなければならないのか理解できません。

 

質問4-①

 回答書に詳細に述べられている具体的な内容を市民に公開してください。

 

質問4-②

公募の段階では、3年の縛りをかけて応募者に制限をかけたにもかかわらず、法人設立2年3ヶ月の事業者を選定したことは、公平性公正性に欠けます。その理由を以下に上げます。

  1. 募集要領[応募の制限]では、「直近過去3年間の決算が債務超過、純損失、キャッシュフロー赤字の全てに連続して該当する状況をもって、経営健全性を欠くとしている」にもかかわらず、法人設立2年3ヶ月の当該事業者は2期分の決算のみが対象であり、どのような財務状況であっても応募制限を受けずに審査対象となりえた
  2. 公募要領公表日から参加表明書受付締切日まで、わずか25日間である
    当該市有地は、広大な森林と多数の沢や傾斜、崖地といった複雑な地形や崩れやすい地質、さらに、上下水道も取付道路もない特殊な条件、県林地開発許可制度や、都市計画法、自然保護法令をクリアする必要があるため、この短い期間での参加表明書の提出は不可能であり、公募の事前情報を知り得た応募者が他より群を抜いて有利であると考えられる
  3. 20億円もの市民の税金を投入して取得する土地を最低月額72,660円という低廉な土地賃貸借料で貸し出す事業であることを考えると、公募対象は法人であれば事業者規模を問わず幅広い対象とすべきで、広報はんのうでの公募概要の公表は必須であったが、全く行わなかったこと(※)は意図的に公募参加者の範囲を狭めようとしたと考えられる
    ※2017年12月1日号に、極めて簡単な内容で掲載されたが、この時には、既に参加表明書受付締切日11月6日を3週間以上経過し、公募参加は不可能であった
  4. 参加表明書の提出方法が持参のみで、郵送を認めなかったことは、遠隔地からの公募参加者を排除することとなり、意図的に公募参加者の範囲を狭めようとしていたと考えられる

 

質問4-➂

市の回答には、「新たな財源確保や財政負担の軽減を図りながら本市の地方創生の取り組みをさらに推進する。」とあります。この「新たな財源の確保や財政負担の軽減を図りながら」という文言は、今回の市の回答書に何度も書かれています。にもかかわらず、<質問4-➂>月10万円で17㌶の土地を貸すことの説明箇所になると、「・・自主財源の確保を最優先したわけではなく、あくまで本市の地方創生に資すると判断した提案を選定した。」と、都合よく使い分けています。到底納得できません。

 

質問4-④

災害の危険性がある事業にもかかわらず、アパートの部屋を貸し出すくらいの賃貸借契約を結んで原状回復がほぼ不可能な事業を進め、30年後に行く末を委ねることは、あまりにも無責任です。

 

質問4-⑤

質問4-④で述べた通りです。

 

質問-5

市街地の近くに広大な自然が残されている加治丘陵は、埼玉県でも数少ない貴重な里山です。特に、阿須山中には、いく筋もの沢が流れており、水の中の生き物も多く確認されています。丘陵の森林がはぐくんだ土は、雨が降れば土中に浸透させながらゆっくりと水を流す自然のダム機能もあり、入間川や霞川の水源かん養林としても大切な役割を果たしています。普通なら山奥の方へ行かなければ見られないような植物や動物が多数生息しています。

 加治丘陵は、平野に最も近い場所で山の生き物が見られる場所として入間市は大切に保全しています。この貴重な丘陵の環境調査を丁寧に行い、入間市青梅市と共に守り活かしていくことこそ、飯能市がとるべき地方創生の姿と考えます。

 

質問-6

森と川は一体のものです。阿須山中の森は長い間手つかずになっていたため、そこには豊かな自然が残っています。微妙なバランスの上に、豊かな生態系が守られています。森林破壊、薬物の散布は、加治丘陵全体の生態系を破壊することにつながります。私達人間もすべての生物の命の循環の中で生きています。阿須山中の目の前を流れる唐沢川が汚染されるとなれば、当然ながら下流域の生き物の命も脅かすのです。

緑と清流のまち飯能においては、外来種である芝の導入と、農薬の使用をやめてください。

「日本一、命を大切にするまち」として、全国のモデルとなりましょう。

 

質問-7

第6次飯能市森林整備計画「森林文化都市としての取り組み」の中で、「昨今では、森林は木材生産の場としてだけでなく、水や大気の循環、生物多様性保全、レクリエーションの場の提供など、森林の持つ公益的機能(*)への期待がさらに高まり、これら諸機能の充実が求められております。(中略)そこで本市は「森林文化都市」として、これまでの歴史の中で築かれてきた人と森林との絆をより深め、市内外の多くの人が森林の恵みを享受できるよう、市の貴重な財産である森林の魅力をより高めるとともに、市民が豊かな森林を有する本市に誇りと愛着を持ち、将来にわたり健全な森林が継承されていくことを目指します。」としています。

以上は、私達の会が、主張していることそのものです。自然保護と環境保護が、青少年の健全育成に役立ち、ひいては地方創生につながります。 阿須山中は、貴重な「文教ゾーン」だと思います。飯能市を持続可能な森林文化都市とするために、阿須山中の森を、守るべきだと思います。

(*)基本方針1  森林の持つ公益的機能の向上「現状と課題」

   森林を通して環境問題や資源問題を学ぶ「森林文化都市」の実施がもとめられています。
 本市の小中学校ではすでに実施されていますが、これらの活動をさらに広げ、市内外または老若男女を問わず、森林を通じた学習ができる環境を整備することに加え、森林所有者や市民はもちろん都市住民へも森林の持つ魅力や価値を広く発信していく必要があります。